
中学生のお子さんが不登校になると、高校進学について考えるだけでも、不安が次々に浮かんでくることがあります。
「不登校でも全日制高校に行けるのだろうか」
「公立高校は、もう難しいのかな」
「通信制高校も調べた方がいいのかな」
「でも、親から通信制を勧めたら、子どもの可能性を狭めてしまわないだろうか」
高校のパンフレットを見せても、「まだ分からない」と閉じられてしまう。
普段の会話はできるのに、高校の話を出した途端、表情が固くなる。
なかには、お子さんから、
「今の中学校にも行けていないのに、高校なんて行ける気がしない」
と言われた方もいるかもしれません。
親は願書の時期や説明会の日程が気になっているのに、本人は高校へ通う自分をまだ想像できていない。そんな家庭もあると思います。
不登校だからといって、高校進学の選択肢がなくなるわけではありません。
全日制高校だけでなく、定時制高校、通信制高校など、通学日数や学習方法の異なる高校があります。
ただし、高校選びで見たいのは、単に「合格できるか」だけではありません。
今のお子さんがどのような条件なら通いやすいか、困ったときに立て直せる環境があるかも大切な判断材料になります。
この記事では、全日制・定時制・通信制の違いを比較しながら、お子さんに合う高校を考えるための視点を、保護者向けに整理します。
- 全日制・定時制・通信制の主な違い
- お子さんに合う高校を考える基準
- 高校説明会や個別相談で確認したいこと
- お子さんが進路を決められないときの進め方
不登校でも高校進学はできる|ただし「入れる高校」だけで選ばない
不登校の期間がある場合でも、高校進学を目指すことはできます。
ただし、欠席日数、内申点、調査書の扱いは、都道府県や学校、入試方式によって異なります。
そのため、「不登校だから公立高校は無理」「通信制高校しか選べない」と一律には決められません。
受験できる学校や入試条件については、中学校の進路担当や志望校の個別相談で確認する必要があります。
一方で、受験できることと、入学後に通い続けられることは別です。
たとえば、次のような負担が考えられます。
- 毎朝決まった時間に起きて通学する
- 大人数の教室で一日を過ごす
- 欠席した授業や課題を取り戻す
- 自宅でレポートや学習予定を管理する
だからこそ、高校を探すときは、どこなら受かるかだけでなく、どのような条件なら続けやすいかも一緒に考えることが大切です。
不登校の中学生の高校受験について、内申点・出席日数・調査書を含めた全体像から確認したい方は、「中学生の不登校でも高校受験はできる?内申点・出席日数・進路を親向けに整理」をご覧ください。
「高校へ行ける気がしない」と言われたとき
今の中学校へ通えていないお子さんが、高校生活を想像できないのは、不自然なことではありません。
お子さんの中では、
「高校も毎朝通わなければいけない」
「また教室に入れなくなるかもしれない」
「入学しても、続かないかもしれない」
という不安が大きくなっていることがあります。
そのようなときに、
「高校は中学校とは違うから大丈夫」
「行ってみなければ分からない」
と励ましても、本人には届かないことがあります。
まずは、
「今の状態で、週5日通う姿は想像しにくいよね」
と、本人が感じている難しさを受け止めてみてください。
そのうえで、
- 午後から通える
- 週数日から始められる
- 自宅学習を中心にできる
- 少人数で学べる
など、条件を分けて見せます。
「高校へ行けるか、行けないか」ではなく、「どのような通い方なら考えられそうか」へ問いを変えると、本人も考えやすくなることがあります。
高校名を探す前に、続けられそうな条件を整理する

高校名や偏差値を調べ始める前に、まずは次の3つを整理してみましょう。
- 通学日数・時間:
朝から週5日通うのか、週数日や午後から通うのか - 学習方法:
教室で授業を受けるのか、自宅で課題を進めるのか - 支援体制:
欠席や課題の遅れが出たとき、どのような支援を受けられるのか
ここで「できる・できない」を決めつける必要はありません。
見るのは、どのような条件なら負担が少なくなりそうかです。
| 確認すること | 家庭で考えたいポイント |
|---|---|
| 登校時間 | 朝から動きやすいか、午後の方が動きやすいか |
| 登校頻度 | 週5日、週数日、年数回のどれが現実的か |
| 教室環境 | 大人数と少人数のどちらが過ごしやすいか |
| 学習方法 | 授業中心と自宅学習中心のどちらが合うか |
| 自己管理 | 課題や締切を一人で管理できそうか |
| 支援 | 個別の声かけや学習フォローが必要か |
| 学校生活 | 行事、部活動、友人関係をどの程度望むか |
朝から週5日通える状態か
全日制高校では、一般的に平日の朝から授業が始まり、週5日通学します。
中学校には通えていなくても、環境が変わることで高校へ通えるようになる子もいます。
ただし、「高校になれば自然に朝起きられるようになる」と期待するだけで決めるのは慎重に考えたいところです。
確認したいのは、一度登校できるかではなく、数日、数週間と続けた場合の負担です。
- 朝の時間帯に外へ出られそうか
- 電車やバスの混雑に耐えられそうか
- 一日通った翌日に疲れが残りすぎないか
- 一度休んだあと、もう一度学校へ向かえそうか
学校見学では、授業時間だけでなく、通学時間や帰宅後の疲れ方も見ておきましょう。
人の多い教室で過ごせそうか
不登校の背景には、友人関係だけでなく、教室の音や視線、集団行動など、さまざまな負担が重なっていることがあります。
学校見学では、次の点も確認してみてください。
- 一クラスの人数
- 教室の広さや雰囲気
- 休み時間の過ごし方
- 一人で過ごせる場所があるか
- 教室に入れないときの居場所があるか
「少人数制」と案内されていても、実際の人数や授業形態が想像と違うことがあります。
パンフレットの言葉だけで判断せず、実際の環境を見ることが大切です。
授業型と自宅学習型のどちらが合うか
学校へ通う負担が大きい場合、通信制高校の自宅学習は魅力的に見えるかもしれません。
ただし、自宅で学べることと、一人で学習を進められることは別です。
お子さんによっては、
- 先生の説明を聞く方が理解しやすい
- 決まった時間割がある方が動きやすい
- 声をかけてもらわないと始めにくい
- 分からないところを一人で抱え込みやすい
ということもあります。
反対に、
- 教室では緊張して内容が入ってこない
- 自分のペースなら集中しやすい
- 体調に合わせて学習時間を変えたい
という子もいます。
通学日数の少なさだけでなく、どのような学び方なら取り組みやすいかも見ておきましょう。
課題や予定を自分で管理できそうか
通信制高校では、レポートの提出、スクーリングへの参加、試験などを通して単位を取得します。
学校側の支援内容にもよりますが、
- レポートの締切を確認する
- 課題を計画的に進める
- 登校日程を管理する
- 分からないときに質問する
といった自己管理が必要になりやすい学び方です。
自由度が高いことはメリットですが、何をいつまでに行うかを管理する負担もあります。
一人での管理が難しい場合は、課題の進み具合を確認してくれる学校や、通学日数の多いコースも候補に入ります。
学校生活に何を求めているか
高校選びというと、「将来何になりたいの?」と聞きたくなるかもしれません。
しかし、今のお子さんにとって、将来の職業や大学進学まで考えることが重すぎる場合もあります。
そのようなときは、もう少し答えやすいところから聞いてみましょう。
- 制服を着たいか
- 部活動をしてみたいか
- 友達がほしいか
- 行事に参加してみたいか
- 少人数で過ごしたいか
- 人との関わりは少ない方がよいか
- 興味のある分野を学びたいか
興味のあることが、すぐに将来の仕事へつながる必要はありません。
少しでも「ここなら行ってみたい」と思える理由があるかは、高校を選ぶ手がかりになります。
公立・私立と、全日制・定時制・通信制は別の分け方

高校を調べていると、
「公立と通信制のどちらがいいの?」
「私立と定時制では何が違うの?」
と、分類が分かりにくくなることがあります。
ここで整理しておきましょう。
公立・私立は、学校を設置・運営する主体の違いです。
一方で、全日制・定時制・通信制は、授業時間や学習方法などの課程の違いです。
そのため、
- 公立の全日制高校
- 私立の全日制高校
- 公立の定時制高校
- 公立の通信制高校
- 私立の通信制高校
などがあります。
つまり、「公立か通信制か」は、同じ軸で比べるものではありません。
まずは全日制・定時制・通信制のどの学び方が合いそうかを考え、そのあとで公立・私立、学費、入試方法などを比較すると整理しやすくなります。
全日制高校の特徴と確認したいこと
全日制高校は、不登校経験のある中学生にとっても、十分に検討できる進学先の一つです。
ただし、全日制高校に合格できるかどうかだけでなく、入学後の通学や授業、学校生活を続けられそうかまで見ておく必要があります。
ここでは、全日制高校の基本的な特徴、候補になりやすいケース、学校へ確認したいこと、公立・私立の全日制を検討するときのポイントを順番に整理します。
全日制高校の基本的な特徴
全日制高校は、一般的に平日の日中に授業を行い、3年間で卒業を目指します。
毎日の時間割が決まっており、クラスで授業を受けることが中心です。
学校行事や部活動、友人との日常的な関わりを持ちやすい点も特徴です。
全日制高校が候補になりやすいケース
全日制高校が候補になりやすいのは、たとえば次のような場合です。
- 朝から外出できる日が増えている
- 決まった時間割がある方が動きやすい
- 先生の授業を受けながら勉強したい
- 友人関係や学校行事を望んでいる
- 本人が全日制へ通いたいと考えている
ただし、「全日制に行きたい」という言葉だけで決める必要はありません。
本人が求めているのは、
- 毎日通うこと
- 制服を着ること
- 友達をつくること
- 部活動に参加すること
- 一般的な高校生活への安心感
のどれなのか、分けて考えてみましょう。
求めているものによっては、定時制高校や通学型の通信制高校でも希望に近づける場合があります。
全日制高校で確認したいこと
- 朝の登校時間
- 自宅から学校までの通学時間
- 一クラスの人数
- 一日の授業時間
- 欠席した授業の補い方
- 追試や課題の再提出が可能か
- 別室や相談室を利用できるか
- 出席や単位取得の条件
特に見落としやすいのが通学時間です。
学校にいる時間だけでなく、満員電車や乗り換えが、お子さんにとって大きな負担になることもあります。
不登校でも公立・私立の全日制は候補に残せる
不登校だからといって、公立高校や私立高校の全日制を最初から候補から外す必要はありません。
ただし、
- 内申点
- 欠席日数
- 調査書
- 当日の学力検査
- 面接や自己申告書
などの扱いは、都道府県や学校、入試方式によって異なります。
家庭だけで「欠席が多いから公立は無理だろう」と判断せず、中学校と志望校の両方へ確認してみましょう。
中学校には、次のように聞くことができます。
- 現在の内申点や評価材料はどうなっていますか
- 地域の公立高校では、欠席日数をどのように扱いますか
- どのような受験方法が考えられますか
- 不登校経験のある生徒の進学例はありますか
欠席日数が高校受験でどのように見られるのか、出席日数・欠席日数・出席扱いの違いを確認したい方は、「不登校の出席日数は高校受験に影響する?」も参考にしてください。
志望校の個別相談では、次の点を確認します。
- 不登校経験のある生徒も受験していますか
- 欠席日数や調査書をどのように見ますか
- 受験時の配慮は相談できますか
- 入学後に利用できる支援はありますか
公立高校を候補に残すことと、公立高校だけに絞ることは別です。
全日制、定時制、通信制を並行して調べながら、本人の状態と入試条件の両方を見ていきましょう。
内申点がどのように決まり、定期テストや提出物、別室登校が評価材料になる可能性があるのかは、「不登校の内申点はどうなる?通知表が1になる可能性と高校受験への影響」で詳しく整理しています。
定時制高校の特徴と確認したいこと
定時制高校は、朝からの通学は難しくても、時間帯を調整しながら教室で学びたい中学生にとって、候補になりやすい進学先です。
ただし、授業の時間帯や卒業までの年数、学校の雰囲気は、定時制高校ごとに異なります。
ここでは、定時制高校の基本的な特徴、候補になりやすいケース、学校選びで確認したいことを順番に整理します。
定時制高校の基本的な特徴
定時制高校というと、夜間に通う学校を思い浮かべるかもしれません。
現在は学校によって、
- 午前部
- 午後部
- 夜間部
- 複数の時間帯から選ぶ多部制
などがあります。
教室で授業を受ける点は全日制と共通していますが、通う時間帯や一日の授業数が異なる場合があります。
卒業までの年数や履修方法も、学校ごとに確認が必要です。
定時制高校が候補になりやすいケース
- 朝より午後や夕方の方が動きやすい
- 自宅学習だけでは勉強を続けにくい
- 授業を受けたいが、朝からの通学は難しい
- 一日の授業数を抑えたい
- 時間帯を選びながら通いたい
ただし、定時制高校だから必ず少人数で、落ち着いた環境とは限りません。
定時制高校で確認したいこと
- 授業が始まる時刻と終わる時刻
- 帰宅時間や通学路の安全
- 卒業までの標準的な年数
- 一クラスの人数
- 学校行事や部活動の実施状況
- 欠席した場合の補習や課題
- 生活リズムとの相性
夜間の定時制は、朝が苦手なお子さんに合いやすく見えることがあります。
一方で、帰宅時間や就寝時間が遅くなる場合もあります。
授業時間だけでなく、起床から帰宅、就寝までの一日全体を想像して選ぶことが大切です。
通信制高校の特徴と確認したいこと
通信制高校は、毎日の通学負担を抑えながら、自分のペースで学びたい中学生にとって、有力な選択肢の一つです。
ただし、登校日数が少ないことだけで判断すると、レポート管理やスクーリングなど、入学後の負担を見落とすことがあります。
ここでは、通信制高校の基本的な特徴、候補になりやすいケース、注意したい点、スクーリングで確認したいことを順番に整理します。
通信制高校の基本的な特徴
通信制高校は、自宅などでの学習を中心に進める高校です。
一般的には、
- レポート提出
- スクーリングへの参加
- 試験
などを通して単位を取得します。
登校頻度は、
- 年に数日
- 月に数回
- 週1日
- 週3日
- 週5日
など、学校やコースによって大きく異なります。
通信制高校が候補になりやすいケース
- 毎日の通学が大きな負担になる
- 体調に波がある
- 人の多い教室で長時間過ごすことが難しい
- 自分のペースで学びたい
- 学習時間を調整したい
- 興味のある専門分野を学びたい
通学日数や時間を調整しやすいことは、通信制高校の大きな特徴です。
不登校だから通信制高校が合うとは限らない
一方で、通信制高校では次のような負担もあります。
- レポートの締切を管理する
- 自宅で課題を進める
- スクーリングへ参加する
- 分からないときに質問する
- 生活リズムを保つ
- 人との接点をつくる
そのため、
- 一人では課題に取りかかりにくい
- 家にいると生活リズムが崩れやすい
- 親が声をかけると衝突する
- 人との関わりが減ると孤立しやすい
という場合は、学校側の支援内容をよく見る必要があります。
候補としては、
- 通学日数の多い通信制高校
- 課題管理を支援してくれる学校
- 授業中心の定時制高校
- 個別支援のある全日制高校
なども考えられます。
通信制高校を調べることは、全日制高校をあきらめることではありません。
今すぐ進路を決めるためではなく、親子が追い詰められないように選択肢を知っておくためです。
同時に、通信制高校を選べば、必ず負担が少なくなるという意味でもありません。
スクーリングの内容まで確認する
通信制高校でも、スクーリングや試験のために登校が必要になることがあります。
学校には、次の点を確認しておきましょう。
- スクーリングは年間何日あるか
- どこで実施されるか
- 一日何時間程度か
- 一度に何人くらい参加するか
- 宿泊を伴うか
- 欠席した場合に振替できるか
登校日数が少なくても、遠方の会場や集中日程が負担になる場合があります。
「年間数日」という数字だけでなく、どこへ、何時から、どのように参加するのかまで見ておくことが大切です。
全日制・定時制・通信制の違いを比較

ここまで、全日制・定時制・通信制それぞれの特徴や注意点を見てきました。
ただ、文章だけでは違いをつかみにくいこともあります。
そこで、通学頻度、学習方法、自己管理の必要性、体調への合わせやすさなど、高校選びで特に見ておきたい項目を同じ軸で比較します。
まずは全体の違いを整理したうえで、お子さんの状態に近い学び方を考えてみてください。
| 比較項目 | 全日制 | 定時制 | 通信制 |
|---|---|---|---|
| 主な通学頻度 | 原則週5日 | 原則登校型 | 学校・コースで異なる |
| 主な授業時間 | 日中 | 午前・午後・夜間など | 自宅学習+スクーリング |
| 学習方法 | 教室での授業中心 | 教室での授業中心 | レポート・自宅学習中心 |
| 自己管理 | 時間割が決まっている | 時間割が決まっている | 課題や日程管理が必要になりやすい |
| 人との関わり | 日常的に多い | 学校による | コースや登校日数による |
| 体調への柔軟性 | 学校による | 時間帯を選べる場合がある | 比較的調整しやすい |
| 見ておきたい負担 | 毎朝の通学、集団生活 | 時間帯、帰宅時間 | 自己管理、スクーリング |
| 学校ごとの確認事項 | 欠席後の補習、別室 | 授業時間、修業年限 | 課題管理、登校会場 |
この表は、あくまで一般的な傾向です。
同じ通信制高校でも、ほとんど自宅で学ぶコースと、週5日通学するコースでは生活が大きく異なります。
高校の種類は候補を絞る入口であり、最終的には一校ずつ確認する必要があります。
子どもの状態別|考えやすい高校の選択肢

ここからは、お子さんの現在の状態を、高校の選択肢に当てはめてみます。
「この状態なら必ずこの高校」と決めるものではなく、学校探しの入口として考えてください。
朝は難しいが、午後なら外出できる
候補としては、
- 午後部のある定時制高校
- 登校時間を選べる通信制高校
- 週数日の通学コース
などがあります。
授業開始時間だけでなく、通学距離や帰宅時間を含めて、一日を無理なく過ごせるかを考えます。
外出はできるが、大人数の教室が苦手
候補としては、
- 少人数制の全日制高校
- 定時制高校
- 通学型の通信制高校
- 個別支援のある私立高校
などがあります。
学校見学では、実際のクラス人数、休み時間の居場所、先生との距離を見てみましょう。
家から出ることが難しい
自宅学習中心の通信制高校や、オンラインでの支援がある学校が候補になります。
ただし、スクーリングや試験で外出が必要になることがあります。
年間の登校日数だけでなく、会場、時間、振替の可否まで確認しておきましょう。
一人で課題を進めることが苦手
登校日数の少ない通信制高校が、必ずしも合うとは限りません。
候補としては、
- 授業中心の全日制高校
- 定時制高校
- 週3日から5日通う通信制高校
- 課題管理を個別に支援してくれる学校
などがあります。
「通学が少ない方が楽」とは限らず、決まった時間割や声かけがある方が取り組みやすい子もいます。
興味のある分野なら学びたい
絵、デザイン、動画、ゲーム、パソコン、美容、調理、動物など、興味を示す分野がある場合は、
- 専門コースのある全日制高校
- 専門分野を学べる通信制高校
- 高等専修学校
なども候補になります。
興味のあることが、すぐに将来の仕事へつながる必要はありません。
「少し見てみたい」と思えることが、学校へ目を向けるきっかけになる場合があります。
全日制に行きたいと言っている
お子さんが全日制高校を希望している場合、その希望をすぐに否定する必要はありません。
一方で、
- 毎日通いたいのか
- 制服を着たいのか
- 友達をつくりたいのか
- 部活動をしたいのか
- 通信制高校に抵抗があるのか
を分けて聞いてみましょう。
本人が求めているものが分かれば、学校を選ぶ基準も見えやすくなります。
高校選びでは「困ったときに立て直せるか」を見る

高校へ入学したあと、すべてが順調に進むとは限りません。
新しい環境に慣れるまで疲れたり、人間関係で悩んだり、体調に波が出たりすることもあります。
そのため、学校の支援は「あるか」だけでなく、どのような条件で、誰に相談すれば利用できるのかまで確認しましょう。
欠席した授業や課題を補えるか
- 補習を受けられるか
- 動画教材やオンライン教材があるか
- 欠席日のプリントを受け取れるか
- 課題の再提出ができるか
- 定期試験の追試を相談できるか
一度休んだことで授業が分からなくなり、その不安からさらに休みが続くことがあります。
休んだあとに戻る道があるかは、重要な判断材料です。
教室に入れないときの居場所があるか
「別室があります」と案内されていても、誰でも自由に使えるとは限りません。
次の点まで聞いてみましょう。
- どのような場合に利用できるか
- どのくらいの期間使えるか
- 別室で授業や課題に取り組めるか
- 担当する先生がいるか
- 利用後、教室へ戻ることを急かされないか
相談相手が担任以外にもいるか
担任の先生との相性が合わない可能性もあります。
- スクールカウンセラー
- 養護教諭
- 支援担当の先生
- 学年主任
- 進路担当
など、相談先が複数あるか確認しておきましょう。
制度として名前があるだけでなく、実際にどのくらい相談できるのかも聞いておくと安心です。
登校日数やコースを途中で変えられるか
入学時には週5日通えると思っていても、途中で負担が大きくなることがあります。
反対に、状態が変わり、通学日数を増やしたくなることもあります。
- 通学日数を変更できるか
- オンライン中心のコースへ移れるか
- 別のコースへ変更できるか
- 変更できる時期は決まっているか
- 追加費用が発生するか
を確認しておきましょう。
保護者と学校がどのように連携するか
高校生になると、本人の意思やプライバシーがより重視されます。
一方で、欠席や課題の遅れを家庭が把握できず、気づいたときには単位取得が難しくなっていることもあります。
- 欠席が何日続くと連絡が来るか
- 課題の遅れを共有してもらえるか
- 保護者面談はあるか
- 本人を交えず相談できる機会があるか
を確認しておくと、入学後の連携を想像しやすくなります。
高校説明会・個別相談で確認したい質問

高校説明会では、学校の特色や進学実績が中心に説明されることがあります。
不登校経験のあるお子さんの場合は、個別相談も利用して、家庭の状況に近い質問をしてみましょう。
受験前に聞いておきたいこと
- 中学校で不登校だった生徒も受験していますか
- 欠席日数や調査書はどのように扱われますか
- 別室受験などの配慮は相談できますか
- 配慮を相談する場合、いつまでに何が必要ですか
- 面接では不登校についてどのように確認しますか
- 入学前に支援担当者へ相談できますか
入試条件については、中学校からの情報だけでなく、志望校へ直接確認することも大切です。
入学後について聞いておきたいこと
- 欠席が続いた場合、どのような支援がありますか
- 教室に入れない場合、別室を利用できますか
- 欠席した授業や試験を補う方法はありますか
- 課題が遅れたとき、誰が声をかけますか
- 担任以外に相談できる人はいますか
- 登校日数やコースを途中で変更できますか
- 保護者への連絡はどの程度ありますか
- 不登校経験のある生徒は、どのような支援を受けていますか
通信制高校の場合は、次の点も確認します。
- スクーリングは年間何日ありますか
- 会場はどこですか
- 欠席した場合、振替できますか
- レポートが遅れた場合、どのような支援がありますか
- 学習計画を一緒に立ててもらえますか
- 保護者は学習状況をどのように確認できますか
学校見学で見ておきたいこと
説明内容だけでなく、学校の雰囲気も見ておきましょう。
- 在校生の表情
- 先生と生徒の話し方
- 教室の人数
- 廊下や休み時間の騒がしさ
- 一人で過ごせる場所
- 先生へ声をかけやすい雰囲気
見学後は、本人に「楽しかった?」だけでなく、次のように聞いてみます。
- 一番疲れたのはどこだった?
- 人の多さはどうだった?
- 先生の話し方はどう感じた?
- 嫌だったところはあった?
- もう一度行ってもよいと思う?
学校にいるときの表情だけでなく、帰宅後の疲れ方も判断材料になります。
高校の候補があっても、子どもが決められないとき

学校を何校か調べ、見学にも行ったのに、本人が決められない。
高校の話を出すと怒ったり、黙ったり、部屋へ戻ったりする。
そのようなとき、親は「何も考えていないのでは」と焦るかもしれません。
しかし、言葉にしないことと、何も考えていないことは同じではありません。
高校の話を嫌がるのは、考えていないからとは限らない
お子さんの中には、
- また通えなくなるのが怖い
- 自分で選んで失敗したくない
- 親をがっかりさせたくない
- 進学できる自信がない
- 気持ちを言葉にできない
といった思いがあるかもしれません。
親にとっては出願期限のある現実的な問題でも、本人にとっては「また学校へ行かなければならない」という重い決断になっている場合があります。
「どこに行きたい?」より、負担と感想を聞く
いきなり結論を求めると、答えにくくなることがあります。
そのようなときは、
- 今日の学校で一番疲れたのはどこだった?
- 人の多さはどうだった?
- 先生の話し方はどう感じた?
- 嫌だったところはあった?
- ここなら少し行けそうと思ったところはあった?
- 週に何日くらいなら考えられそう?
と聞いてみます。
「どこへ行くか」ではなく、何が負担で、どの条件なら考えられそうかを拾っていきましょう。
親が候補を調べても、最後まで決め切らない
親が先に情報を集めることは悪いことではありません。
本人が調べられない時期には、親が候補や相談先を整理しておく必要もあります。
ただし、
- この学校にしなさい
- 通信制しか無理だと思う
- 全日制へ行かないと将来困る
と結論まで決めてしまうと、本人が「自分の進路なのに」と感じることがあります。
親は、通える範囲、費用、入試条件、支援体制を確認する。
最後は、お子さんの反応を見ながら一緒に絞る。
親が準備することと、親が決めることは別です。
期限が迫っているときは第三者を頼る
親子で話すたびに衝突する場合は、二人だけで決めようとしないことも大切です。
無料で相談できる場所として、次のような選択肢があります。
- 中学校の担任や進路担当
- スクールカウンセラー
- 教育支援センター
- 自治体の教育相談窓口
- 高校の個別相談
本人が中学校の先生とは話しにくくても、高校の先生や外部の相談員なら話せることがあります。
「親子で決められないから失敗」ではありません。
話しやすい第三者を間に入れることも、進路を整理する方法のひとつです。
不登校の高校選びで避けたい決め方
高校選びでは、選択肢を増やすことと同じくらい、判断を急ぎすぎないことも大切です。
不安が強いと、
「受かりやすい学校」
「一般的に安心できそうな学校」
といった分かりやすい条件だけで決めたくなることがあります。
しかし、その条件がお子さんの通学や学習、学校生活に合うとは限りません。
ここでは、不登校の中学生の高校選びで、特に避けたい決め方を整理します。
「受かりやすい」だけで決める
入試科目が少ない、内申点を重視しないといった条件は、受験校を探すうえで重要です。
ただし、入試条件だけでなく、通学頻度や欠席後の支援も一緒に確認しましょう。
「不登校だから通信制」と決める
通信制高校は有力な選択肢ですが、自己管理やスクーリングが負担になる子もいます。
不登校という状態だけでなく、学習方法や支援体制との相性を見て選びます。
今の状態だけで将来を決める
今は外へ出にくくても、状態が変わる可能性があります。
反対に、今は通えそうでも、入学後に疲れが出ることもあります。
通学日数やコースを途中で変更できるかも確認しておきましょう。
親の安心だけで全日制を選ぶ
「一般的な進路だから」
「全日制の方が安心だから」
という理由だけでは、お子さんに合うとは限りません。
誰の、どの不安を解消するための選択なのかを、一度考えてみることが大切です。
パンフレットだけで判断する
「個別支援が充実」
「一人ひとりに寄り添う」
と書かれていても、利用条件や支援内容までは分かりません。
見学や個別相談を利用し、具体的に質問しましょう。
不登校の高校選びチェックリスト
ここまで整理してきた内容を、実際の高校選びで使えるようにチェックリストへまとめました。
すべての条件を満たす学校を探すためのものではありません。
お子さんにとって譲れない条件は何か、学校側に確認が必要なことは何か、親子でどこまで話せているかを整理するために使ってください。
お子さんの状態
□ 朝から通えそうか
□ 週5日の通学を続けられそうか
□ 大人数の教室で過ごせそうか
□ 自宅で一人でも課題を進められそうか
□ 締切や予定を管理できそうか
□ 分からないときに質問できそうか
□ 人との関わりをどの程度望んでいるか
□ 興味のある分野があるか
学校の環境
□ 欠席した授業を補う方法があるか
□ 別室を実際に利用できるか
□ オンライン教材や授業があるか
□ 担任以外の相談先があるか
□ 課題の遅れをフォローしてもらえるか
□ コースや登校日数を変更できるか
□ 保護者との連携方法が決まっているか
□ 通学時間や交通手段に無理がないか
親子での決め方
□ 本人に結論を急がせていないか
□ 行きたい理由だけでなく、嫌だった点も聞いているか
□ 親だけで学校を決め切っていないか
□ 複数の学校を比較しているか
□ 必要に応じて第三者へ相談しているか
すべてにチェックがつく学校を探す必要はありません。
どこは譲れず、どこなら調整できるのかを考えるための材料として使ってください。
まとめ|今すぐ学校名を決めるより、続けられる条件を整理する
不登校の中学生にも、高校進学の選択肢はあります。
公立高校や全日制高校も、家庭だけで判断して最初から候補から外す必要はありません。
一方で、通信制高校を選べば、必ず負担が少なくなるとも限りません。
高校を選ぶときは、次の4つを確認してみてください。
- 通学できそうな時間と日数
- 取り組みやすい学習方法
- 必要な支援
- 困ったときに立て直せる仕組み
お子さんが「高校へ行ける気がしない」と話している場合も、今すぐ週5日の高校生活を想像させる必要はありません。
午後から、週数日から、自宅学習を中心にするなど、条件を分けて考えることができます。
通信制高校を調べることも、全日制高校をあきらめることではありません。
今すぐ進路を決めるためではなく、選択肢を知り、親子が追い詰められないようにするための情報収集です。
高校選びは、一度で正解を当てる作業ではありません。
今のお子さんが何に負担を感じ、どのような支えがあれば続けられそうかを、一つずつ整理していく作業です。
まずは、通学日数・学習方法・支援体制の3つを書き出してみてください。
学校名を決めるのは、そのあとでも遅くありません。
参考文献
- 通信制高等学校情報発信サイト(文部科学省)
- 全国の通信制高校情報(未来地図)
- 通信制高校・全日制高校・定時制高校の違いとは【比較表アリ】(通信制高校ナビ)
【動画】【徹底比較!】通信制高校・全日制高校・定時制高校の仕組みや特徴の違いとは??







