
中学生のお子さんが学校へ行けない状態になると、親として気になり始めるのが、勉強の遅れです。
学校から届いたプリントを見ると、授業は先へ進んでいる。
教科書や学校のワークは、机の上に置かれたまま。
お子さんはスマホやゲームには触れているけれど、勉強の話をすると黙り込んだり、不機嫌になったりする。
そんな様子を見ながら、
「このままでは高校受験に間に合わないのでは」
「もっと早く勉強を始めさせるべきだったのでは」
「今から学び直しても遅いのでは」
と、不安になることもあると思います。
私自身も、子どもが不登校になったとき、学校から届くワークや進路資料を見るたびに焦りを感じていました。
休ませたい気持ちと、勉強や高校受験の準備も進めなければならないという気持ちの間で、何から始めればよいのか分からなくなることもありました。
まず、整理しておきたいことがあります。
学校の授業を受けられない期間が続いていても、理解できるところまで戻り、必要な内容を学び直すことはできます。
ただし、学校と同じ進度へ短期間で追いつくことだけが、学び直しではありません。
今のお子さんの状態と、理解できている場所を確認しながら、取り組む内容を選ぶことが大切です。
- 勉強の遅れを取り戻す前に確認したいこと
- 教科ごとの学び直しの始め方
- 最初の教科・教材・学習量の決め方
- 学校や支援先へ確認しておきたいこと
不登校の中学生でも勉強の遅れは取り戻せる?
不登校で勉強から離れている期間が長くなると、
「一度遅れたら、もう学校の授業には追いつけないのでは」
と感じるかもしれません。
しかし、勉強の遅れを取り戻すことを、学校と同じ単元まで一気に追いつくことだけだと考える必要はありません。
学び直しには、次のような段階があります。
-
勉強との接点を少しずつ戻す
-
基礎の抜けやつまずきを確認する
-
今後の学習や進路に必要な内容を優先する
すべての教科を、学校と同じところまで一気に進められるとは限りません。
それでも、理解できている場所まで戻り、必要な内容を選んで学び直すことはできます。
たとえば、中学2年生だからといって、必ず中学2年生の最初から始める必要はありません。
数学の分数や割合でつまずいているなら、小学校の内容まで戻ることもあります。
一方で、理科や社会に興味のある単元があるなら、今の学年の内容から始められることもあります。
大切なのは、学年に無理に合わせることではありません。
お子さんが「ここなら分かる」と感じられる場所を見つけることです。
学び直しを始める前に、まずは次の3つを分けて確認します。
- 今は勉強に触れられる状態か
- 教科ごとに、どこまで理解できているか
- 何のために学び直すのか
たとえば、教科書を見ること自体が負担になっている子と、本人も勉強の遅れを気にしている子では、最初の一歩が異なります。
また、高校受験の準備を始めたい場合と、まず勉強への抵抗を少なくしたい場合でも、選ぶ教科や教材は変わります。
最初から勉強の計画を立てるのではなく、「今の状態」「理解できている場所」「学ぶ目的」の順に整理することが大切です。
学年によって優先したいことは変わる
学び直しの進め方は、学年によっても変わります。
| 学年 | 最初に確認したいこと |
|---|---|
| 中学1年生 | 生活の状態、勉強への抵抗、前学期までの理解度 |
| 中学2年生 | 中学1年生からのつまずき、学校の支援、高校受験までの見通し |
| 中学3年生 | 希望する高校の入試科目、調査書、受験までに優先する内容 |
特に中学2年生は、今すぐ進路を決める時期ではありません。
ただし、学校の授業進度や、どこでつまずいているのか、利用できる学習支援については、少しずつ確認し始めてもよい時期です。
高校受験までに何を確認すればよいか、進路の全体像から整理したい方は、「中学生の不登校でも高校受験はできる?内申点・出席日数・進路を親向けに整理」の記事も参考にしてください。
今すぐ決める必要はありませんが、分からないままにはしないことが大切です。
まず確認したい|今は学び直しを始められる状態?
親が勉強の遅れに気づくと、教材を用意したり、塾や家庭教師を探したりしたくなることがあります。
けれども、その前に確認したいのが、今のお子さんが勉強に触れられる状態かどうかです。
「やる気があるか、ないか」という二択ではなく、普段の様子から、今できそうなことを見ていきます。
まだ勉強を急がない方がよい状態
次のような様子があるときは、学習計画を立てることよりも、休息や心身の状態について相談することを優先します。
- 教科書や学校の話題で強く落ち込む
- 食事や入浴など、日常生活も大きな負担になっている
- 勉強の話をすると、自分を強く責める
- 眠れない、食べられない状態が続いている
- 「消えたい」「いなくなりたい」など、心配な言葉がある
このような状態では、
「1日10分だけでもやろう」
という声かけが、かえって負担になることもあります。
強い不眠や食欲不振、自傷の心配などがある場合は、家庭だけで抱えず、学校や地域の相談窓口、医療機関などへの相談も考えてください。
勉強を始めないことは、将来を諦めることではありません。
まず日常生活を支えることが、その後の学び直しにつながる場合もあります。
小さく試せる可能性がある状態
次のような様子があるときは、短い教材や興味のある内容に触れられるか、反応を見てみます。
-
好きなことには取り組める
-
短い会話ならできる
-
得意だった教科には少し反応する
-
動画やクイズ形式なら見られる
-
本人から高校や勉強の話が少し出る
-
「分からないのが嫌」と、遅れを気にしている
この段階で、毎日の時間割や課題を決める必要はありません。
たとえば、
「紙の教材と動画なら、どちらが見やすそう?」
「前に好きだった教科から見てみる?」
「今日は教材を選ぶだけでもいいよ」
と、本人が選べる余地を残します。
具体的な学び直しへ進める状態
次のような様子があれば、教科や単元を確認しながら、具体的な学び直しへ進める可能性があります。
-
本人も勉強の遅れを気にしている
-
教材の種類を自分で選べる
-
分からないことを質問できる
-
誰かに教わることを検討できる
-
勉強後に大きく消耗しない
-
高校や資格など、本人なりの目標が少し見えている
始められたとしても、毎日同じ量を続けられるとは限りません。
体調や気持ちの波があることを前提に、その日の負担を見ながら調整します。
学び直しはどこから?3つの現在地を確認する
学び直しの開始地点を決めるときは、次の3つを分けて考えます。
| 確認したい現在地 | 確認する内容 |
|---|---|
| 学校の現在地 | 授業がどの単元まで進んでいるか |
| 本人の現在地 | 一人で分かる内容、説明があれば分かる内容 |
| 進路に向けた現在地 | 受験までの期間、必要な教科や単元 |
学校の現在地
まずは、学校でどこまで授業が進んでいるのかを確認します。
- 各教科の授業進度
- 現在使っている教科書やワーク
- テスト範囲
- 提出を求められている課題
これらは、お子さんに直接聞かなくても、保護者から学校へ確認できます。
ただし、学校が今教えている場所と、お子さんが学び直す場所は同じとは限りません。
学校が中学2年生の一次関数まで進んでいても、本人が方程式でつまずいているなら、方程式へ戻った方が理解しやすくなります。
本人の現在地
同じ学年でも、理解できている内容は一人ひとり異なります。
たとえば、
-
中学1年生の内容までは理解できている
-
中学1年生の途中から分からなくなった
-
小学校の分数や割合から苦手
-
計算はできるが文章題が難しい
-
書くことは負担だが、動画なら理解できる
といった違いがあります。
学年だけでなく、読む・書く・聞く・計算することのうち、何が負担なのかも確認します。
進路に向けた現在地
何のために学び直すかによって、優先する内容も変わります。
-
勉強への抵抗を少なくしたい
-
学校の課題を少し提出したい
-
定期テストを受けられるようにしたい
-
高校受験に必要な基礎を整えたい
-
英検や漢検に挑戦したい
受験が近い場合は、5教科を同じ量ずつ進めるのではなく、希望する高校や入試方式に合わせて優先順位をつけることも必要です。
子どもを試す形にしない
開始地点を確認しようとして、親が次々に問題を出すと、家庭内で学力テストをされているように感じるお子さんもいます。
「これは分かる?」
「では、これは?」
「ここも分からないの?」
というやり取りになれば、学び直す前に自信を失ってしまうことがあります。
まずは、保護者だけで次の情報を確認します。
-
欠席前のテストや通知表
-
途中で止まっているワーク
-
以前から苦手だった教科や単元
-
学校の授業進度
-
学校で受けられる学習支援
-
前学年の教材を借りられるか
そのうえで、本人には次のようなことを聞いてみます。
- 紙、動画、音声のどれが楽か
- 比較的抵抗の少ない教科はあるか
- 見ると苦しくなる教材はあるか
- 一人で進めたいか、誰かに教わりたいか
- 取り組みやすい時間帯はいつか
- 親に教わることに抵抗があるか
問題を使って確認する場合も、一度に何問も出す必要はありません。
難しければ、さらに前の内容へ戻ります。
開始地点を探すのは、できない場所を証明するためではありません。
一人で分かる場所や、少し説明があれば分かる場所を見つけるためです。
教科別|不登校中の学び直しはどこから始める?
教科によって、戻り方は異なります。
すべての教科を同じ学年から、同じ順番で進める必要はありません。
数学は小学校の計算まで戻ることもある
数学は、前に学んだ内容が次の単元につながりやすい教科です。
中学校の内容でつまずいているように見えても、小学校で学んだ計算や割合が影響していることがあります。
確認する順番の例は、次の通りです。
- 九九や基本的な計算
- 小数・分数
- 割合・比
- 正負の数
- 文字式
- 方程式
- 比例・反比例
- 一次関数
- 図形
- 文章題
分数の計算が難しい状態で方程式を進めても、計算の途中で止まりやすくなります。
小学校の内容へ戻ることを、お子さんが嫌がる場合もあるでしょう。
その場合は、
「小学生の問題をやり直す」
ではなく、
「方程式を解きやすくするために、必要な計算だけ確認する」
と伝える方法もあります。
また、同じ数学でも、
-
計算はできるが文章題が難しい
-
式は分かるがグラフが読みにくい
-
図形で手が止まる
-
問題文を読むと疲れる
など、つまずき方は異なります。
単元名だけでなく、どの作業で手が止まるのかを見ることが大切です。
英語は「読む・書く・聞く」を分けて確認する
英語も、前に学んだ内容が積み重なりやすい教科です。
確認したい内容には、次のようなものがあります。
- アルファベットと音
- 基本的な単語
- 英文の語順
- be動詞と一般動詞
- 疑問文と否定文
- 三単現
- 過去形
- 短い英文を読む
- 聞いた英語を理解する
- 単語や文を書く
ただし、英語のつまずき方は一つではありません。
-
英文は読めるが書けない
-
文法は分かるが単語が足りない
-
音声なら分かるが、文字を見ると止まる
-
単語は知っているが、語順が分からない
ということもあります。
単語を大量に覚えることから始めるのではなく、読む・書く・聞く・文を作るのうち、どこで負担が大きいのかを確認します。
国語は長文問題より、読む負担を確認する
国語は日本語で書かれているため、遅れに気づきにくい教科です。
しかし、
-
漢字が読みにくい
-
長い文章を読むと疲れる
-
指示語が何を指すのか分からない
-
段落の要点をつかみにくい
-
問題文の意味を理解しにくい
といったつまずきもあります。
国語の読み取りは、数学の文章題や理科・社会の問題にも関わります。
最初から長文問題へ進むのではなく、
-
短い文章
-
興味のある本や記事
-
一問だけの読解問題
-
漢字や語句
などから始める方法もあります。
理科・社会は興味のある単元からでもよい
理科や社会は、英語や数学ほど、すべての単元が一直線につながっているわけではありません。
そのため、
-
興味のある単元
-
学校で現在扱っている内容
-
動画や図で理解しやすい分野
-
入試で優先したい分野
から始められることがあります。
歴史が好きなら、好きな時代から始めても構いません。
生物や天気に興味があるなら、その単元の動画を見るところからでもよいでしょう。
勉強との接点を戻す段階では、興味のある内容から始めることにも意味があります。
最初の1教科はどう選ぶ?
「得意教科から始めるべきか」
「積み上げが必要な英語や数学を優先するべきか」
と迷うこともあると思います。
どちらか一方が正しいわけではありません。
学び直しの目的によって、最初に選ぶ教科は変わります。
| 学び直しの目的 | 最初に選びやすい教科 |
|---|---|
| 勉強への抵抗を少なくしたい | 好きだった教科、興味のある単元 |
| 小さな達成感を得たい | 漢字、計算、理科・社会の短い単元 |
| 基礎の抜けを整えたい | 英語・数学 |
| 高校受験の準備をしたい | 希望する高校の入試で必要な教科 |
| 本人が教科を選べる | 本人が最も触れやすい教科 |
勉強から長く離れていた場合は、最初から苦手な英語や数学へ進むより、得意教科で「分かる」という感覚を取り戻す方が合うこともあります。
その後、勉強との接点が戻ってきた段階で、英語や数学のつまずきを確認します。
入口は、得意教科や興味のある単元でも構いません。
学校ワークは最初から全部やらなくてもよい
学校から渡されたワークを見て、
「まずはこれを終わらせなければ」
と考える保護者の方もいると思います。
しかし、授業を受けていない単元では、学校ワークだけを渡しても進まないことがあります。
学校ワークを開いても進まない理由
手が止まりやすい理由には、次のようなものがあります。
-
問題の解き方をまだ習っていない
-
解説が短く、一人では理解しにくい
-
前の単元が抜けている
-
問題量が多く、終わりが見えない
-
学校の教材を見ること自体が負担になっている
このような場合は、本人の意思だけの問題ではありません。
説明を受けていないことや、前の内容の抜けが影響している可能性があります。
まずは説明に触れてから問題を解く
授業を受けていない単元は、次のような順番で進めます。
- 解説を見る、または聞く
- 例題を確認する
- 基礎問題を一問試す
- 難しければ、一つ前の内容へ戻る
- 日を空けて、もう一度確認する
解説に触れる方法は、参考書だけではありません。
-
教科書
-
解説動画
-
音声教材
-
学年を戻って学べる教材
-
学校の先生や支援員
-
家庭教師や個別指導
などがあります。
ノートへきれいにまとめることが負担なら、ノート作りから始める必要もありません。
見る、聞く、線を引く、例題をまねるなど、本人が取り組みやすい方法を選びます。
提出する教材と、理解する教材は分けてもよい
学校ワークは提出に必要でも、学び直しの教材としては難しすぎることがあります。
その場合は、
-
前学年の教材
-
薄い基礎問題集
-
解説の多い参考書
-
学年を戻って学べる教材
-
動画教材
などで理解してから、学校ワークの基礎問題へ戻る方法があります。
提出するための教材と、理解するための教材は、同じでなくても構いません。
学校ワークをどこまで進めればよいか、基礎問題だけでも提出できるかは、学校へ確認してみてください。
また、定期テストを受けられなかった場合や、提出物・家庭学習が通知表の評価材料になるか気になる方は、「不登校の内申点はどうなる?通知表が1になる可能性と高校受験への影響」で詳しく整理しています。
学習量は「何分やるか」より、終わったあとの反応で決める
不登校の中学生の勉強法として、
「まずは1日10分から」
と紹介されることがあります。
短時間から始める考え方は大切です。
ただし、すべてのお子さんに10分が合うわけではありません。
5分でも大きな負担になる子もいれば、興味のある内容なら30分ほど見られる子もいます。
最初は時間よりも、勉強を終えたあとの様子を見ます。
学習量を減らした方がよいサイン
-
終わったあとにぐったりしている
-
翌日に教材を見ることを強く嫌がる
-
勉強後に眠れなくなる
-
自分を責める言葉が増える
-
親子の衝突が増える
-
学習以外のこともできなくなる
続けられそうなサイン
-
「もう一問ならできそう」と言う
-
翌日も強く拒否しない
-
分かった内容を自分から話す
-
次の教材を選ぼうとする
-
終えたあとにも少し余力がある
最初の目標は、長時間勉強することではありません。
次もできそうな状態で終えることです。
1ページ全部ではなく、例題を一つ見るだけ。
英単語を10個ではなく、3個だけ確認する。
問題を解かず、短い動画を見るだけでも構いません。
続けられそうになってから、少しずつ量を調整します。
不登校中の学び直しに使える支援と学習方法
学び直しの方法は一つではありません。
本人の心身の状態や対人関係への負担、一人で学習を始められるかどうかによって、合う方法は変わります。
まずは学校や公的な支援を確認し、そのうえで、家庭で利用できる教材や第三者の支援を検討すると整理しやすくなります。
| 学習方法 | 向きやすい状態 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 学校の教科書・ワーク | 学校との接点を保ちたい | 授業を受けていない単元は難しい場合がある |
| 学校の別室・学習支援 | 学校内なら短時間過ごせる | 利用できる内容は学校ごとに異なる |
| 教育支援センター | 公的な相談や支援を受けたい | 学習支援の内容は自治体によって異なる |
| 市販教材・動画 | 一人で少し始められる | つまずいたときに止まりやすい |
| 学年を戻って学べる教材 | 基礎の抜けを確認したい | 自分で始め、続ける負担がある |
| 家庭教師 | 説明や学習計画の伴走が必要 | 講師との相性や訪問の負担がある |
| オンライン家庭教師 | 外出や対面が負担 | 画面越しの会話が合うか確認する |
| 個別指導塾 | 外出でき、個別に学びたい | 通塾や他の生徒の存在が負担になる場合がある |
| フリースクール | 居場所と学習の両方を求める | 費用や学習支援の内容に差がある |
まずは学校や教育支援センターへ確認する
学校によっては、
- 別室での学習
- プリントや課題量の調整
- 学習支援員との学習
- オンラインでの授業配信
- 前学年の教材の貸し出し
などに対応していることがあります。
教育支援センターでも学習支援を受けられる場合がありますが、利用方法や支援内容は自治体によって異なります。
民間の教材や指導を探す前に、無料で利用できる支援がないか確認しておきましょう。
市販教材やオンライン教材
一人で少しずつ進められる場合は、市販教材やオンライン教材も選択肢になります。
教材を選ぶときは、今の学年用という表示だけで決めず、
- 解説が多い
- 基礎問題が中心
- 学年を戻って学べる
- 問題数が多すぎない
- 一つの単元が短い
- 学習した内容を記録できる
といった点を確認します。
対人関係の負担が少ない一方で、自分から教材を開く必要があるため、開始や継続が難しい場合もあります。
家庭教師や個別指導
本人も学び直したいと思っているものの、
-
どこから戻ればよいか分からない
-
一人では計画を立てにくい
-
分からないとすぐ止まってしまう
-
親が教えるとけんかになる
という場合は、第三者へ任せる方法もあります。
ただし、学力だけでなく、本人との相性も重要です。
- 説明の速さを調整できるか
- 本人が答えるまで待てるか
- 不登校の状態に理解があるか
- 宿題量を調整できるか
- 欠席や予定変更に対応できるか
などを確認します。
今の段階では、特定の教材やサービスを急いで決める必要はありません。
まずは、本人が一人で進められるのか、説明してくれる人が必要なのかを整理することが先です。
親が教えるとけんかになるときは、誰かに任せてもよい
親が教えようとすると、
「さっき説明したよね」
「ちゃんと問題を読んで」
「どうして取り組まないの?」
と言いたくなることもあると思います。
親も、お子さんの将来を心配しているからこそ、焦ってしまいます。
けれども、親子だからこそ、勉強を教えるのが難しいこともあります。
親が直接教えないことは、学習を諦めることではありません。
親が担当できるのは、たとえば次のようなことです。
- 学校の授業進度を確認する
- 教材や支援先の候補を探す
- 本人の希望を聞く
- 費用や利用条件を確認する
- 学校や支援者と情報を共有する
一方で、次のことまで親がすべて抱える必要はありません。
-
5教科すべてを教える
-
毎日の進み具合を細かく管理する
-
間違いをすべて直す
-
勉強へ向かわせる役割を背負う
-
高校受験の計画を親だけで決める
学習内容は学校や教材、支援者へ任せ、家庭では安心できる関係を保つという分け方もできます。
声をかけるときは、本人が選べる形にする
| 避けたい声かけ | 選べる形にする声かけ |
|---|---|
| このままだと高校へ行けないよ | 高校のことも気になると思うけれど、今できそうなことから整理する? |
| ゲームはできるのに、なぜ勉強はできないの? | 紙と動画なら、どちらの方が見やすそう? |
| せめて10分だけでもやりなさい | 今日は教材を見るだけにする? |
| みんなはもっと進んでいるよ | 前に好きだった教科から見てみる? |
| 中学生なのに、この問題も分からないの? | 難しければ、前の内容へ戻ってもいいよ |
答えを急がせるより、本人が選べる形にすると、学び直しへの抵抗が少なくなることがあります。
高校受験が近い場合は、全範囲より優先順位を確認する
高校受験が近づくほど、
「5教科すべて取り戻さなければ」
と焦りやすくなります。
ただし、学び直しと受験勉強は、完全に同じものではありません。
学び直しでは、今後の理解につながる基礎を整えます。
受験勉強では、希望する高校や入試方式に合わせて、必要な教科や単元を優先します。
中学3年生で時間が限られている場合は、次の点を確認します。
- 希望する高校の入試科目
- 当日試験と調査書の扱い
- 現在の理解度
- 本人が取り組める学習量
- 面接や作文など、学科試験以外の準備
すべての範囲を同じ深さで学ぶのではなく、希望する高校の入試科目や本人が取り組める量に合わせて、優先する内容を絞ることも選択肢です。
学校の先生や進路担当者にも相談しながら、今から取り組める内容を整理してみてください。
学校に確認しておきたいこと
学び直しを家庭だけで考える必要はありません。
学校へ相談するときは、「勉強が遅れていて心配です」だけでなく、具体的に質問すると、必要な情報を得やすくなります。
- 現在、各教科はどの単元まで進んでいますか
- 最初に取り組むなら、どの課題を優先すればよいですか
- 学校ワークは、基礎問題だけでも提出できますか
- 前学年の教材を借りられますか
- 別室で学習やテストを受けられますか
- 学習相談ができる先生や支援員はいますか
- 家庭学習の内容や記録を学校と共有できますか
- 提出物や家庭学習は、評価材料として扱われますか
- 自宅学習を出席扱いとして相談できる条件はありますか
- 保護者だけでも学習や進路について相談できますか
家庭学習の評価や出席扱いについては、学校や教育委員会の判断、利用する教材や支援方法によって異なります。
家庭で学び始める前に、どのような記録を残せばよいかまで確認しておくと、学校とも共有しやすくなります。
欠席日数が高校受験でどのように扱われるのか、別室登校や遅刻・早退の記録も含めて確認したい方は、「不登校の出席日数は高校受験に影響する?出席扱い・欠席日数・調査書を親向けに整理」の記事も参考にしてください。
お子さんが学校へ行けない状態でも、保護者だけで相談できることがあります。
本人が来られないことを理由に諦めず、まずは担任や学年主任、スクールカウンセラーなどへ確認してみてください。
不登校の中学生は勉強の遅れを取り戻せるについてよくある質問
不登校の期間だけで、間に合うかどうかを判断することはできません。
現在の理解度や心身の状態、学年、希望する進路によって、必要な準備は異なります。
学校の全範囲へ一気に追いつこうとするのではなく、今後の学習や進路に必要な内容から優先して学ぶことが大切です。
ゲームができることと、勉強に向き合えることは同じではありません。
ゲームは、自分のペースで進めやすく、失敗しても何度でもやり直せます。
一方で、教科書や学校ワークは、学校でのつらい経験や、勉強の遅れを意識するきっかけになることがあります。
ゲームができるという一点だけで、勉強にも同じように取り組めると判断しないことが大切です。
必要であれば、小学校の内容まで戻ることがあります。
数学の分数や割合など、中学校の内容を理解するために必要な学習があるからです。
前へ進むために土台を確認することは、後退ではありません。
本人が抵抗を感じる場合は、前学年の教材を最初からすべて行うのではなく、必要な単元だけを確認する方法もあります。
まず、何が負担になっているのかを分けて考えます。
-
内容が難しい
-
学校を思い出す
-
親に管理されるのが苦しい
-
失敗することが怖い
-
今は日常生活だけで精いっぱい
など、勉強に向かいにくい背景はさまざまです。
すぐに教材や塾を決めるのではなく、今は勉強に触れられる状態なのかを確認します。
本人が動けないときでも、保護者だけで学校や支援先へ相談し、選択肢を調べておくことはできます。
家庭学習をしているだけで、必ず出席扱いや評価につながるとは限りません。
出席扱いや評価材料としての扱いは、学校や教育委員会、学習方法などによって異なります。
家庭学習を始める場合は、
-
どの教材を使うのか
-
学習記録をどのように残すのか
-
学校とどのように共有するのか
-
成果物を提出できるか
を、事前に学校へ確認しておきましょう。
まとめ|学び直しは「遅れた場所」ではなく「できる場所」から
学校の授業が進むほど、親は、
「早く追いつかせなければ」
と焦りやすくなります。
けれども、学び直しの最初の一歩は、今の学年のワークを急いで終わらせることではありません。
まず確認したいのは、次のことです。
- 今は勉強に触れられる状態か
- 教科ごとに理解できている場所はどこか
- 何のために学び直すのか
- 本人が取り組みやすい教材や方法は何か
- 親が教えるのか、第三者へ任せるのか
お子さんが「ここなら分かる」「これならもう一度できそう」と感じられる場所を見つけることが、次の一歩になります。
今すぐすべてを決める必要はありません。
まずは問題を解かせる前に、学校の授業進度や、以前つまずいていた教科、利用できる学習支援を、保護者の側で静かに確認するところから始めてみてください。
参考文献
- 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)(文部科学省)
- 不登校児童⽣徒に係る特別の教育課程の対象となる児童⽣徒(文部科学省
- 不登校中の勉強はどうするべき?進学できる?遅れを取り戻す学習法とは(個別教室のトライ)
【動画】不登校の勉強の遅れは心配するな【不登校解決策3つ】







