
不登校で欠席日数が多いと、「高校受験は何日までなら大丈夫なのか」と気になる親御さんもいると思います。
ただ、欠席日数には「○日を超えたら全国一律に受験できない」という共通のボーダーがあるわけではありません。
「年間30日以上」といった数字だけで、受験できるかどうかを判断することもできません。
まず確認したいのは、家庭で数えた欠席日数ではなく、中学校で実際にどう記録されているかです。
そのうえで、その記録が出願や調査書、選抜のどこで確認されるのかを見ていきます。欠席日数、出席扱い、内申点、調査書も、それぞれ分けて考える必要があります。
この記事では、中学校で確認したい出欠記録と、志望する高校・選抜方式で欠席日数がどう扱われるのかを整理します。
欠席日数だけで志望校を外したり、本人に無理な登校を求めたりする前に、まず確認できることから見ていきます。
欠席が多いだけで受験できなくなるとは限らない
欠席日数が多いというだけで、全国一律に高校へ出願・受検できなくなるわけではありません。
文部科学省は、2024年2月13日付の「高等学校等における多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現について」で、不登校経験のある生徒について、在籍校での出席状況だけをもって不利益に扱わず、欠席日数だけで出願を制限するなどの取扱いをしないよう配慮することが望まれると示しています。
ただし、欠席日数が何日あっても、すべての高校や入試方式に同じ条件で出願できるという意味ではありません。
高校受験では、その高校・入試方式に出願できるかどうかと、選抜で出席状況がどう扱われるかを分けて考えます。
欠席日数だけから受験できるかや合否を予測するのではなく、まず志望先の対象年度・選抜方式で、出願条件を満たしているかを確認します。
資料を読んでも自分の子どもが条件を満たすか判断できない場合は、中学校の進路担当に確認しましょう。公立と私立で見る資料や確認先がどう違うのかは、後ほど整理します。
「年間30日以上」は入試の全国共通ボーダーではない
「年間30日以上」という数字を見ても、それだけで「高校を受験できない」「必ず不利になる」と判断する必要はありません。
この30日は、高校入試で全国共通に定められた出願や合否の基準ではありません。
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、長期欠席の状況を把握するため、指導要録上の「欠席日数」と「出席停止・忌引等の日数」を合わせ、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒を理由別に調査しています。
学校が出席扱いとした日数が指導要録の備考欄に記録されている場合は、その日数も調査上の集計に含める取扱いになっています。
ここで使われる「30日」と、中学校の指導要録に記録される「欠席日数」は、同じ意味の数字ではありません。高校入試で「30日までならよい」「30日を超えたら出願できない」と定めた数字でもありません。
一方で、個別の高校や推薦等の選抜方式で、欠席日数に関する条件が設けられることはあります。
ネットや学校資料で具体的な日数を見つけたときは、数字だけを見るのではなく、何のために定められた数字なのかを確認しましょう。
文部科学省の統計で使われる数字なのか、対象年度の入学者選抜実施要項や募集要項にある出願条件なのか、推薦基準として定められた数字なのかで意味は変わります。
「30日を超えたから受験できない」「30日以内なら問題ない」と考えず、自分が受ける学校・対象年度・選抜方式で、欠席日数にどのような条件があるのかを確認します。
出席日数と内申点は同じものではない
出席日数が少ないからといって、その日数がそのまま内申点から差し引かれるわけではありません。
欠席日数・出席日数と、各教科の評定は別の記録です。
文部科学省「中学校及び特別支援学校中学部の指導要録に記載する事項等」でも、「各教科の学習の記録」と「出欠の記録」は分けて作成することが示されています。
各教科の学習の記録には観点別学習状況や評定が記載され、出欠の記録には欠席日数や出席日数などが記載されます。「欠席が30日あるから内申点が何点下がる」といった全国共通の換算方法があるわけではありません。
とはいえ、欠席日数と内申点は別だから、まったく関係を考えなくてよいということでもありません。
欠席が続くと、授業での学習状況など、学校が成績評価に使う材料を確認できる機会が少なくなる場合があります。評定や内申点が気になる場合は、欠席日数とは分けて現在の評価状況を確認する必要があります。
内申点が何をもとに決まり、どのような評価材料を確認すればよいかは、「不登校の内申点はどうなる?欠席日数との違いと評価材料」で詳しく扱います。
出席日数と欠席日数はどこに記録されるか
高校受験で欠席日数を考えるときは、家庭で「何日くらい休んだか」を数えるだけでなく、中学校が正式に記録している数字を確認します。
先ほど確認した文部科学省「中学校及び特別支援学校中学部の指導要録に記載する事項等」では、中学校の指導要録の「出欠の記録」に、学年ごとに「授業日数」「出席停止・忌引等の日数」「出席しなければならない日数」「欠席日数」「出席日数」などを記録することが示されています。
「出席停止・忌引等の日数」は、「欠席日数」とは別に記録されます。欠席日数は「出席しなければならない日数」のうち欠席した日数、出席日数はそこから欠席日数を差し引いた日数として記録されます。
家庭で考えている「学校へ行かなかった日数」と、中学校が記録している「欠席日数」が一致するとは限りません。
高校受験について確認するときに基準にしたいのは、家庭で数えた概算ではなく、中学校の正式な出欠記録です。
まず学校の記録で欠席日数・出席日数がどうなっているかを把握し、その数字が高校受験のどの場面に関係するのかを見ていきます。
高校受験で出席状況が確認される場面
中学校に欠席日数が記録されていても、その数字がすべての高校入試で同じように使われるわけではありません。
高校受験では、出席状況が関係する場面を、出願や推薦等の条件、調査書への記載、選抜資料としての扱いに分けて考えます。
まず、出願や推薦等の条件として欠席日数が定められている場合があります。確認するのは、対象年度の入学者選抜実施要項や学校の募集要項、推薦基準などです。
「志願資格」「出願条件」「推薦基準」といった項目に、欠席日数や遅刻・早退などの条件が示されていないかを見ます。
欠席日数などの出欠情報が調査書に記載される場合もあります。ただし、中学校に記録されていることと、高校へ提出する調査書に記載されることは同じではありません。
調査書にどの出欠情報を何年分記載するかは、対象年度・地域・学校等で確認が必要です。調査書に欠席日数や理由がどう記載されるかは、「不登校の調査書に欠席日数や理由は書かれる?」で詳しく確認できます。
さらに、調査書などに出席状況が記載されていても、それだけで合否が決まるわけではありません。
選抜で何を資料として使い、どう扱うかは、対象年度の選抜方法や選考基準で確認します。
中学校に欠席日数が記録されていること、高校へ提出されること、選抜で使われることは、それぞれ別の段階です。
自分が受ける高校・選抜方式について、出席状況がどの段階に関係するのかを分けて確認します。
公立・私立、一般・推薦で扱いが異なる
欠席日数について確認するときは、公立か私立かだけでなく、どの学校の、何年度の、どの選抜方式を受けるのかまで見ておく必要があります。
同じ欠席日数でも、出願条件や選抜での扱いが同じとは限りません。
公立高校では、都道府県教育委員会等が対象年度の入学者選抜制度を定めています。
神奈川県の令和9年度入学者選抜(2027年4月入学者向け)では、一般募集や特別募集など、募集区分ごとの手続が「入学者の募集及び選抜実施要領」に定められています。各高校の選考基準も別に公表されています。
公立高校を検討する場合は、対象年度の実施要領だけでなく、自分が受ける募集区分と高校の選考基準まで確認します。
私立高校では、学校ごとに募集要項や推薦基準が定められ、同じ学校でも一般入試と推薦で条件が異なることがあります。
明治大学付属中野高校の2027年度入試では、推薦Ⅰ型に欠席・遅刻・早退に関する具体的な出願基準がありますが、一般入試には同じ出願基準は示されていません。
これは一校・一年度の例です。推薦で示された欠席条件が、その学校の一般入試にもそのまま当てはまると考えることはできません。
ネットで「欠席○日まで」という情報を見つけても、その数字だけを自分の受験に当てはめないようにします。
公立なら対象年度の実施要領・選考基準、私立なら最新の募集要項・推薦基準を見て、自分が受ける選抜方式に欠席日数の条件があるかを確認します。
資料だけでは判断できない場合は、中学校の進路担当に確認し、公立は教育委員会、私立は志望校の入試窓口にも問い合わせます。
別室登校や学校外学習の日は出欠上どう記録されるか
教室には入れなくても別室や校内教育支援センターで過ごした日、教育支援センターやフリースクールへ通った日、自宅でICT等を使って学習した日がある場合は、その日が中学校の出欠記録でどう扱われているかを確認します。
学校の教室に行かなかった日が、すべて欠席になるとは限りません。
文部科学省の資料では、校内教育支援センターでの活動は「出席」と整理されています。教育支援センターなど学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用して学習した場合は、一定の要件を満たし、在籍する学校が認めれば、指導要録上「出席扱い」とすることができます。
フリースクールなど民間施設も、利用しただけで自動的に出席扱いになるわけではありません。
学校が出席扱いとした日数は、指導要録では出席日数に計上され、欠席日数から除かれます。出席扱いとした日数について、備考欄等にその内数が記録される場合もあります。
家庭では「学校へ行けなかった日」と考えていても、中学校の正式な記録では欠席日数に含まれていない場合があります。
ただ、「別室登校」「保健室登校」と呼んでいることだけで、家庭側が出欠上の扱いを判断するのは避けた方がよいでしょう。学校外の施設を利用したことや自宅で学習したことだけで、出席扱いになったと考えることもできません。
その日が出席日数に計上されているのか、出席扱いとした日数として備考等に記録されているのか、それとも欠席日数に含まれているのかは、中学校に確認します。
出席扱いになっていることと、その学習内容が教科の成績評価に反映されることも別の話です。ここでは、別室登校や学校外学習等の日が、中学校の正式な欠席日数・出席日数にどう反映されているかを確認できれば十分です。
中学校へ確認する出欠記録
ここまでの内容を自分の子どもの状況に当てはめるには、家庭で「これくらい休んだ」と数えた日数ではなく、中学校が把握している出欠の数字を確認します。
すでに終えた学年と現在の学年を分けて聞くと、どの時点の数字なのかが分かりやすくなります。
すでに終えた学年については、学年ごとに記録されている欠席日数と出席日数を確認します。現在の学年は年度途中であれば数字がまだ動くため、何月何日時点までを集計した数字なのかも確認します。
中学3年生であれば、1・2年生の学年ごとの欠席日数・出席日数と、3年生の現在の数字が何月何日時点までの集計なのかを確認する形です。
ここで確認するのは、調査書に何年分・いつまで記載されるかではありません。まずは、中学校側で把握している正式な出欠記録と、現在の集計状況を確認します。
別室登校や校内教育支援センター、教育支援センター、フリースクール、自宅でのICT等による学習を利用した日がある場合は、その日が学校の記録にどう反映されているかも聞いておきます。
家庭では「登校できなかった日」と考えていても、学校の記録では出席日数に計上され、欠席日数に含まれていない場合があるためです。
中学校に確認したいのは、次の3点です。
- すでに終えた学年の、学年ごとの欠席日数・出席日数
- 現在の学年は、何月何日時点までを集計した数字か
- 別室登校や学校外学習等の日が、欠席日数・出席日数にどう反映されているか
担任や進路担当には、「高校受験に向けて、学校の記録で学年ごとの欠席日数と出席日数を確認したいです。現在の学年は、何月何日時点までを集計した数字ですか」と伝えれば、確認したい範囲が伝わります。
別室登校や学校外学習等の日がある場合は、「その日は学校の出欠記録にどのように反映されていますか」とあわせて確認します。
学校側の数字と集計時点が分かれば、「おそらくこれくらい休んでいる」という概算ではなく、実際の記録をもとに志望先の条件と照らせます。
欠席を減らすことだけを目的に無理をさせない
高校受験が近づくと、「これ以上欠席を増やさない方がよいのでは」「1日でも登校した方が受験に有利なのでは」と考えることがあります。
ただ、欠席日数が入試でどう扱われるかは、志望校・対象年度・選抜方式によって異なります。「欠席を1日減らせば、その分だけ受験で有利になる」と全国一律に考えることはできません。
文部科学省も、不登校の児童生徒への支援について、「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、本人や保護者の意思を十分に尊重しながら、本人が自らの進路を主体的に捉えていけるよう支援することが必要だとしています。
一方で、無理に登校させなくてよいことと、高校受験について何も確認しなくてよいことは別です。
文部科学省の通知でも、不登校の時期には休養などの意味を持つ場合がある一方、学業の遅れや進路選択上の不利益などにも留意する必要があるとされています。
先に確かめたいのは、あと何日登校できるかではありません。
中学校の正式な欠席日数・出席日数を把握し、志望校や選抜方式で出席状況がどう扱われるのかを確認します。そのうえで、現在の本人の状態や希望、登校による負担も含めて考えます。
欠席日数という数字だけを理由に、本人へ登校を急がせる必要はありません。親御さんの側で確認できる学校の記録や入試条件は、今のうちに確かめておくことができます。
本人に今すぐ何かを変えてもらうことと、親御さんが今のうちに確認しておくことは、分けて考えておきたいところです。
まとめ
不登校による欠席日数には、「何日までなら受験できる」という全国共通の一律ボーダーはありません。
まずは家庭で数えた日数ではなく、中学校が記録している欠席日数・出席日数を確認します。
そのうえで、志望する学校・対象年度・選抜方式について、欠席日数が出願や推薦の条件になるのか、調査書に記載されるのか、選抜でどう扱われるのかを分けて見ます。欠席日数だけから、内申点や合否まで一続きに判断する必要はありません。
欠席日数を減らすことだけを目的に本人へ登校を急がせず、親御さんが確認できる情報を先に整理しておきましょう。
欠席日数について確認できたら、「不登校の中学生でも高校受験はできる?高校進学までに確認したいこと」に戻り、内申点や調査書、出願条件など、次に確認する項目を整理していきます。






